2016年11月26日

中井英夫『虚無への供物』における“占い”(西川満師系算命学?)

新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫) -   新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫) -

新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫) -
  新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫) -


 日本ミステリーにおける“三大奇書”の一冊として挙げられる中井英夫『虚無への供物』について2回ブログで書きました。

  
OLDIES 三丁目のブログ
■[名作文学]新装版 虚無への供物(上) 中井英夫
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20161015/p1
少年少女・ネタバレ談話室(ネタばらし注意!)
 中井英夫『虚無への供物』ネタバレ感想会
  http://sfclub.sblo.jp/article/177292872.html

  
 この作品は様々な蘊蓄が盛り込まれていて、マニアックな読み方ができる作品です。
 占いに関する記述もありました。
 私は万年初心者で浅学菲才なのですが、問題を提起するためにここで紹介させて頂きます。


『虚無への供物』で占いに凝っている人物として描かれているのは、二番目の犠牲者となる氷沼橙二郎さんです。
 主人公となる氷沼家直系の氷沼蒼司・紅司兄弟の父親の弟(叔父)に当たる人物。
 本職は漢方医ながら占いに凝っているという、なかなか渋い方ですね。
 ぜひ私も漢方診療して占って頂きたいものです。
 中国の占いでは「命」「卜」「相」「医」「山」の五術といって、漢方薬や鍼灸も含めているようですから、橙二郎さんは五術の大家となる資格があります。

  
 氷沼橙二郎師の占いは、蒼司さんによると

  
「西洋にあるやつに中国の命運学をまぜたような特殊なものですが、緑司の主星はペガサス座の何とかで」
「紅司の死んだ晩は、緑司にとっての最悪日で、天中殺ーフランス語で“虚無”と同じ“ネアン”というんだそうですが、年も月も日もいっぺんに重なった」

  
「天中殺」という用語が出てきました!ということは、算命学がヒントなのでしょうか。主星に実在の星座の星を当てはめているということは、現在主流の高尾系ではなく、西川満師系なのでしょうか。
 ただ、西川満師系ではペガサス座の星を主星にした星はないので、ペガサス座というのは中井英夫の創作でしょうか。
 博学多才の中井英夫が詩情あふれる西川満師が著した占いの本を読んでいて、その記述をヒントにした、という想像をするのは楽しいものです。

  
 なお、中井英夫さんの命式を見ると、調舒星を中心星に持っていて、東の位置も調舒星です。非常に個性的で独特な性格だと想像できます。調舒星マニアにとって興味深い研究対象でしょう。
 天極星もお持ちだから、占い師としての適性もありそうです。

  
 また、『虚無への供物』には、姓名判断の記述も出てきます。
 氷沼家の相談役として出入りしている家屋ブローカー・八田皓吉(はったこうきち)さんは、本名は八田広吉(やだこうきち)です。

   
「こら易者に見てもろたら、このほうが縁起がええいわれて、商売にはいつも使てる名前だす」

   
……ということです。
 セリフから分かるように大阪人で、本籍は大阪市阿倍野区松虫通三丁目十三。
 松虫とは、阪堺線で駅のあるあの辺りでしょうか。

 
虚無への供物
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%9A%E7%84%A1%E3%81%B8%E3%81%AE%E4%BE%9B%E7%89%A9
中井英夫
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E4%BA%95%E8%8B%B1%E5%A4%AB
東洋五術運命学協会 五術(ごじゅつ)
  http://www1a.biglobe.ne.jp/kososha/gojutsuinfo.html
張明澄
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B5%E6%98%8E%E6%BE%84
西川満
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B7%9D%E6%BA%80
算命学
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%97%E5%91%BD%E5%AD%A6
天中殺
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E4%B8%AD%E6%AE%BA
姓名判断
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A7%93%E5%90%8D%E5%88%A4%E6%96%AD

 
北落師門の魂〜「天上聖母算命学」をちらりと覗く☆
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天空の神秘〜「天上聖母算命学」をちらりと覗く☆
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上田きょうや公式サイト 奇書 の星座と飴村行
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タグ / 算命学 過去記事
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ありゃま商会 の回覧板【占い】カテゴリ記事(過去ログはこちらになります)
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易経六十四卦イメージ記憶法 ガンダム編 一覧
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夏目漱石の『三四郎』をタロットにしてみました
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ラベル:算命学 中井英夫
posted by 曙光庵主人 at 12:50| Comment(0) | TrackBack(1) | 命占 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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